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街道のシェルターは眠らない ― 二本松バイパスドライブインで、1972年の呼吸を聴く

国道4号線を南下し、二本松バイパスへと車を滑らせる。

福島市から二本松へと入ってまもなく、突如として広大なアスファルトが視界を占拠する。そこには、長旅の疲れを癒やす大型トラックが、まるで巨大な群れのようにずらりと首を並べていた。

宮城県出身の名優・菅原文太がハンドルを握った映画『トラック野郎』。あの昭和の熱気とデコトラたちの咆哮が、今もなお地響きのように聴こえてきそうな、圧倒的な街道のリアリティがここにはある。

敷地の片隅に佇む、かつては歓楽の灯をともしていたであろう廃業したパチンコ店。その色褪せた佇まいすらも、この場所が重ねてきた時間の重み、すなわち「地域が今刻む足跡」として景色に溶け込んでいる。

「ドライブイン」――どうしてこの言葉は、これほどまでに私たちの心をワクワクさせるのだろうか。

それは、効率と利便性で現代を勝ち抜いたコンビニには、決して持ち得ない種類のはるかなる力だ。コンビニが「システム」なら、ドライブインは「意志」である。24時間、年中無休で灯りを消さないという剥き出しの意志が、人を惹きつけてやまない。

その答えを確かめるようにドアを開けると、目の前に広がるのは昭和の残像だった。

テーブル席と座敷を合わせて、およそ100席はあろうかという広大な空間。平日の昼下がり、店内は2、3組の先客が静かに時を過ごす、落ち着いた空気に満ちていた。しかし、のれんが揺れる音は途切れない。一人、また一人と、吸い寄せられるように旅人が、地元の人が、次々と暖簾をくぐっていく。やはり、ここは生きている。この地域の血流そのものだ。

看板メニューの「スタミナ定食」、そして「カツ重定食」を注文する。

運ばれてきた料理を口に運んだ瞬間、腑に落ちた。これだ。五臓六腑に染み渡るような、どこまでも心温まる味。それは決して奇をてらったものではなく、街道を行き交う人々をそっと包み込むような「優しい料理」だった。そしてその優しさは、店を切り盛りするスタッフの方々の柔らかな物腰、そのものとも重なっていた。

このドライブインのもう一つの顔、それは「お風呂」があることだ。

入湯料500円を支払い、暖簾をくぐってみる。

先客はなく、図らずも完全な貸切状態となった。一度に5人はゆったりと入れる広い浴槽に、カランが3つ。湯船に身を沈め、ふと窓の外に目をやる。

抜けるような青空の下、隣に見えるのは大きな建屋に天井クレーン。そこは鋼鈑加工の工場だった。壁には「三菱ふそう」の文字が刻まれているのが見えた。

日本の物流の主役たる大型トラックの、その骨組みとなる鋼鈑が、まさに今ここで切り出され、加工されている。その生々しいものづくりの呼吸を、トラック野郎たちの聖地の湯船から見おろす。これほど贅沢で、この街道の血流に深くシンクロするような湯浴みがあるだろうか。2階にあるというサウナの存在も気になったが、それはまた「次の楽しみ」として、あえて宿題に残しておくことにした。

湯上がりに、売店で見つけた「二本松バイパスドライブインTシャツ」を着込む。袖を通した瞬間、自分がこの場所の歴史の断片の一部になったような、妙な誇らしさが胸に湧く。

私が湯を楽しんでいる間、連れは店内に連結されたゲームセンターでパチンコに興じていた。その気ままな時間の流れ方も含めて、ここには現代が忘れてきた大らかな抱擁力がある。

1972年。このドライブインが産声をあげた年、私もまた、この世に生を受けた。

同い年の長距離ランナーが、半世紀もの間、一瞬も灯りを消さずに24時間走り続けてきたのだと思うと、言葉にできない感慨が込み上げてくる。彼らが放ち続けてきた光の断片が、いま私の目の前で輝いている。

行ってよかった、心からそう思える場所だった。

なぜこれほど多くのメディアがここを訪れ、カメラを向けたくなるのか、その理由が今ならよく分かる。

ここは「いつでもどうぞ」と、24時間、物理的な門を開け放っているだけではない。

ここに辿り着く、あらゆる人生の「心の門」をも、いつでも、等しく、優しく、開いて待っているのだ。国道4号線が今も刻み続ける足音は、今夜も途切れることはない。

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