【俺の温泉同好会 vol.6】
その日は、曇天だった。
九月の半ばだというのに、肌に触れる空気がどこかひやりと薄ら寒い。
「こりゃ、温泉日和だな」
噂には聞いていた姥湯温泉へ、妻を助手席に乗せて向かうことにした。
車一台分の道
山道へ入ると、なるほど、噂どおりの悪路だった。
春先の山菜採りや秋のキノコ採りで、道なき道のような山には慣れっこになっているはずの自分でも、「おお……」と唸る。舗装されているだけまだ有難いとはいえ、そのアスファルトもあちこち崩落しかけていて、一般道としてはなかなかに危なっかしい。
道幅は、ほぼ車一台分。すぐ脇は深い崖だ。斜度もきつく、カーブの曲がりもえげつない。途中のヘアピンでは二箇所ほど、慎重に切り返しを入れてクリアした。
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